君に届きそうな声

旅立ち

卒業式当日

『お母さん、いってくるからね!』
普通なら卒業式は車で登校だけど、歩いていくことにした。
お母さんに最後まで手をかけてもらいたくない。最後くらい…。
『気をつけてよ。後から行くから』
『了解!また後でね。』
いつも歩く道がなんだか違うように感じる。この道を泣いて歩いた日もあったような。いろんな思いがあり、いつもの歩くペースが落ちていく。

学校の門には
L小学校 卒業式
とかかれた板がたっていた。
『橋岡、おはよう。歩いてきたのか?』
『はい。最後ですから』
教頭はすこし驚きながらも私の背中を押した。
『成長したなっ。よし…いってこい』
押された背中が私自身を前に進めてくれた。
『いってきまーす!』

教室にはいつもとは少し違う雰囲気。
黒板には、卒業おめでとう
みんなは、髪型を変えたり。
純はおだんごをして、席に座っている。
『おはよう。卒業だね』
『おはよう。おめでとうだね!純にもあゆにも』
純はいつもと変わらない笑顔を見せた。
『式まで時間あるし、屋上いこうよ』
純が私の手をひぱった。いつも積極的な純に何度助けられただろうか。
『早く!!』
『うん。ちょっと早すぎだよ~』

ガチャ…
勢いよくあいた屋上の扉は強く吹く風のせいで閉まった。
『あぁぁ。やっぱ最高だねっ!』
強い風にもかかわらず純の髪はくずれない。
『何かが終わるんだね。』
純の意味深の言葉。
『そして、何かが始まるんだよ!』
私たちは笑いあった。これどもかってぐらいに。


『橋岡あゆ』
『はい』
小さい返事だが気持ちは確かにこもっていた。
式が終わり、先生からの話が終わった。
『じゃあ、本当のさようならだな』
『先生ー!1年間ありがとうございましたぁ』
先生は泣きながらだけど確かにいった。
『ずっと見守ってるからな』
学校を出る前につーくんに話しかけた。
『卒業おめでとう。』
『お前もな』
交わした言葉はたったこれだけ。だけど私は嬉しかった。

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