探しています。
白から黄色へ
いつもの会社帰り。
あたしは帰路を急いだ。
車がから出るとクーラーの効いた中が恋しい。
23時を過ぎているのにムッとむせかえるような暑さ。
早く家に帰って冷たい麦茶をがぶ飲みしたい。
ふと、空を見上げた。
台風が近づいてるみたい。黒い雲が月を隠そうと追いかけっこをしている。
明日は雨かな?
1分くらいそうしていたみたい。
次に見える街灯の下に黒い陰が動いている。
辺りを見渡そうとせわしなく動いている。
すると、黒い陰はこっちを見てすごく喜んでいる。何かを見つけたらしい。
遠目から見てもわかるくらい口の端が上がったのが分かる。
あたしは歩き始めた。
すると黒い陰もこちらへ歩き始める。
なんだろう?
けど心当たりもないので家への道を急いだ。
すると、黒い陰はこっちを見て何か言っているみたい。
「……で!」
ん?
「…かえで!」
んー?
「楓!」
男の人らしい。
声からしてあたしの2、3こ上かな?
誰か後ろにいるのかな?
けど後ろを見ても誰もいない。
楓?って誰?
黒い陰は「楓!」とあたしに抱きついた。
意外とたくましい体つき。
久しぶりに異性の人から抱きしめられた。
けどーこの人誰だろ?
全く心当たりが無い。
抱きしめられながら冷静なあたしが居た。