ハリケーン
「勇次くん、今日はお店どうすんの?」

温まった牛乳を受け取りながら沙希は勇次に話を向ける。

「街に行くんでしょ?何時に帰ってくんのよ?」

「…そうだな。千尋、お前一人で大丈夫か?」

「勇次、街に行くの?何しに?」

「…ああ。ちょっと姉さんに会いにな…。で?どうなんだ?」



「やるよ!もちろん!カフェはどうすんの?沙希ちゃん」

「ランチまでには開けるわよ?」

「そか。うん、大丈夫!タローもいるし、任せといて!」

勇次と沙希は一度目を合わせた後、二人同時に千尋を見遣った。








「じゃあ行って来る。頼んだぞ?」

「うん!いってらっしゃい!」



沙希と海人を後部座席に乗せて、勇次がランドクルーザーのギアをドライブに入れると、音も無く車は発進して行った。


ガソリンは高騰を続け、結果としてソーラーシステムの付いた自動車が主流となっていた。

千尋の愛車であるバギーでさえそのソーラーシステムが取り付けられている。





千尋はタローと共に走り去るランクルを見送っていた。








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