運命の彼 運命の彼女
改札を抜けて
エスカレーターを
一段抜かしに 
走り降りる

“こんなに走ったの 
高校の体育以来
だよ~”

なんて考えて
あと一段
というところで

左足が ぐきっ
と変な方向へ
曲がった


「 キャっっ!? 」

右手に持っていたはずの
今日の会議で使う
資料がずっしりと
入った紙袋と

左肩にかけた
ショルダーバックが
放物線を描いて
飛んでいくのが
スローモーションの様に
やけに
はっきり見えた


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