運命の彼 運命の彼女
駅のホームに
鳴り響いていた
発車をしらせる
メロディーが止まり
シーンとした中

両手の荷物を
散乱させて
エスカレーターの下に
正座するように
座り込んだ私に

女子高生の
クスクス笑いと

おばさんの
「あらあら、大変」という
のんびりした声

そして 追い討ちをかけるように

『飛び込み乗車は 危険ですので 
お止め下さい』

という 
駅員さんの
ドデカい
アナウンスが聞こえ

真っ赤になって
固まった私を
残して

どうしても
乗らなければ
いけなかった電車が
プシューッ
とドアを閉めて
走り去った……

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