パラドーム
 気付けば、彼の気違いじみた鼓動も、すっかりなりを潜めていたが、同時にとある感情が溢れ出すのを抑えきれない。
 彼は、軽く少女に笑みを返すと、胸に宿した感傷を覆い隠す為、初秋の景色、そして、太陽を見上げた。
 この潤んだ瞳を、誰かの所為、ましてや自分の所為になど出来ない。
 ならば、太陽の所為にすればいい。
 彼は、そう思ったのだ。
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