恋するシンデレラ










ゴクンと唾を飲み込む。




口はカラカラに乾いていた。



言え、私。








「あ、あのね・・・?」


「うん?」





「実は・・・」















ーーーーーーーーーーーー・・・・・







「はぁー。」





初めに各自で行う、発声練習で大きな溜め息。





結局言えなかった私は、優斗についての相談をしてしまった。




それも言いたかったこと。


だけど、本当のことを言いたかった。


でも、愛を嫌な気持ちにさせちゃったら、と思うと言えなかった。






愛は、優しく慰めてくれて、アドバイスまでしてくれた。






それだけで、元気が出た。




けど。


心の奥のモヤモヤは、取れないまま。












「西塔さん。

どうかしました?」





溜め息をついていたからだろう。


前に座っていた先生に、コソッと声をかけられた。



「あ、大丈夫です。

発声前にちょっと深呼吸を・・・」





なんて苦し紛れの一言だったけど、

先生は笑顔になってくれる。











・・・ふぅ、よかった。







今日から小道具を使っての通し稽古になり、皆もより一層気合いが入っているのがわかる。







優斗とは普通に演技できるけど。



どこかぎこちなくて。



まるで一線置かれているようで。





胸が苦しくなった。



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