恋するシンデレラ
ゴクンと唾を飲み込む。
口はカラカラに乾いていた。
言え、私。
「あ、あのね・・・?」
「うん?」
「実は・・・」
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「はぁー。」
初めに各自で行う、発声練習で大きな溜め息。
結局言えなかった私は、優斗についての相談をしてしまった。
それも言いたかったこと。
だけど、本当のことを言いたかった。
でも、愛を嫌な気持ちにさせちゃったら、と思うと言えなかった。
愛は、優しく慰めてくれて、アドバイスまでしてくれた。
それだけで、元気が出た。
けど。
心の奥のモヤモヤは、取れないまま。
「西塔さん。
どうかしました?」
溜め息をついていたからだろう。
前に座っていた先生に、コソッと声をかけられた。
「あ、大丈夫です。
発声前にちょっと深呼吸を・・・」
なんて苦し紛れの一言だったけど、
先生は笑顔になってくれる。
・・・ふぅ、よかった。
今日から小道具を使っての通し稽古になり、皆もより一層気合いが入っているのがわかる。
優斗とは普通に演技できるけど。
どこかぎこちなくて。
まるで一線置かれているようで。
胸が苦しくなった。
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