恋するシンデレラ









「たまには、友達に甘えてもいいんじゃん?

まぁ、俺も人の事言えねぇけど。」




まだ暑い夕日が、踊り場にいる私達を照らす。






だけど、優斗の言葉はまるで春の日差しのように。


優しく、私の心を溶かしてくれる。








「うん、ありがとう。」



少し気が楽になった私が笑顔で答えると、





「奈々美?」

会議室のドアが開き、愛が出てきた。







「じゃーな。」

ふっ、と優しく笑った優斗は、

私の頭をポンポンと叩いて階段を下りていった。







頭に全神経が集中する。



熱くなった頭を押さえて優斗の後ろ姿を眺めていると。

愛が走ってきた。










「見渡したら、奈々美いないから焦っちゃったじゃない。

びっくりさせないでよ。」




眉を下げて私を見つめる愛。




「ごめん。

未来ちゃんと話してたから、お邪魔かなぁと思って。」






これは、本心。

あんまり立ち聞きしちゃっても、っていうのもあった。







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