恋するシンデレラ
9
「おはよう、奈々美。」
まるで王子様のような優しい声に振り向いた。
・・・やっぱり。
「おはよ、達哉君。」
返事をすると、達哉君は満足そうに微笑み、歩いていってしまった。
そうだ。
そういえば、こっちは解決してなかった。
「ちょっと。」
隣にいた愛がつっつく。
「佐倉君、復帰したのに大丈夫なの?
仲良かったら妬くわよ?」
「はぁ?
なんで優斗が。
それに優斗は・・・」
優斗は・・・
そこで止まってしまった。
そうだ。
肝心なこと忘れてた。
優斗は、あの保健室の先生が好きなんじゃん。
「優斗は・・・なによ。」
「え?
えーっと、
結衣ちゃんが好きだからって。」
・・・あ、こっちも解決してない。
優斗は、先生が好きなんだよね?
春日さんじゃ、ないよね?
モヤモヤが溜まる中、愛があっけらかんと答えた。
「あら?
デマだって言わなかった?」
・・・はい?
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