恋するシンデレラ







私は壁際の長椅子に。



美愛先生は机の椅子に座っているから。



距離が少し開いていて、ドア側からは私は見えない。





まさか、優斗?





ーーードクン




また、ドキドキし始める。





しかし、そんな期待は見事に裏切られ。

代わりに、聞き覚えのある声が届いた。








「あー、疲れた。

美愛、そろそろ昼飯にでもする?・・・・・・ってえぇ!?」





やっと私に気付いたのか、

『うわっ、やばい。』と言いながら、外していた眼鏡をかけようとした。




「明良、大丈夫。

西塔さんには話してあるから。」




その声に安堵の表情を見せ、

それと同時に『言っちゃったのか。』とため息をついて、私を凝視した。




思わずたじろぐ私。






「あぁ、やっぱり西塔か。

悪い。

視力ちょっと落ちてて。」




眼鏡を外して、髪をかき上げた広瀬先生は凄くかっこよくて。

少し見とれてしまうほどだった。








「優斗君なら、大丈夫よ。


私が結婚してることも知ってるし、好きな子は『同い年』らしいから。」






そう言った美愛先生は、意味深な笑みを浮かべてウインクした。




あ、やっぱり。

相談した時、名前は言わなかったのに。



好きな人が誰かもばれてたんだ。









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