恋するシンデレラ








「あ、うん。

ありがとう・・・。」


『いえいえ。』と言いかけて、止まった






「まだ疑問あるの?」

「えっ?」



「今のうち聞いちゃいなさい。

先に稽古場行ってるから。」




そう言うと、早足で私の横を通り過ぎた。



ここは渡り廊下。


傾いた日はジリジリと私達を照らす。





「あ。

ありがと!」


ひらひらと手をふった愛。






しばらく、沈黙。





「あいつ、男らしいなぁ。」

「ね。」





「・・・んで?

聞きたいことって?」




き、聞きたい。

けど、言葉が出てこない。




じわじわと浮き出る汗に。

冷や汗も出てきて、まさに汗だく状態。

手の甲で汗を拭い、静かに口を開いた。








「嫉妬させたい相手って?」






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