恋するシンデレラ
『王子! 一体どちらへ?』
『決まっているだろ。
この靴の持ち主の所にだ。』
沈んだ気持ちを周りの人に悟られないように静かに優斗を見つめる。
さっきの優斗が頭に焼き付いて離れない。
一度目を閉じ、気合いを入れ直した。
キスシーン、耐えられるかな、私。
疑問は晴れたのに。
余計に集中できない。
キスシーンは全て未遂。
客席となる方へと優斗が顔を傾けて、
お客さん達からは優斗の後頭部しか見ようにしするという、例年とは違う方法。
前年までは、お客さん側の頬を手で覆うように隠していたらしいけど。
達哉君のアイディアで今年はこっちの方法になった。
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