恋するシンデレラ








保健室に入ると美愛先生はすぐに気付き、席を外してくれた。









「どした。」


優しい声に少し落ち着いた私は話し出す。




ちゃんと言葉になってるかわからないけど、さっきのことを話した。






優斗への私の気持ちだけは言わないまま。











「・・・ちょっと殴ってくる。」


「あ、・・・いいの!」



立ち上がる優斗の手を掴み、引き止めた。










「元はといえば、私がもっとはっきり断らなかったから悪いんだし。

それに、もう過ぎたことだもん。


優斗が殴って、王子役降ろされるほうがやだ。」



そこまで言って私は涙が止まらなくなった。






「泣くなよ。」





そっと涙を拭ってくれたけど、それでも私の涙は止まることなく溢れる。












いきなり、グイッと引き寄せられると。




優しく、でも少し強引にキスされた。









静かな保健室に甘い音が響く。









ゆっくりと離れた優斗の頬は、赤い。








「・・・消毒。




なんてな。」








離れる時に呟かれた言葉。











もう、さっきのことなんて忘れてしまうくらい。







優斗でいっぱいだった。




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