恋するシンデレラ
「って、俺がしてたら意味ねーな。
悪ぃ。」
眉を下げた優斗はしゃがんでいたのを止めて、立ち上がった。
思わず袖を掴むと、優斗の体がビクッとした。
私は首を横にふる。
「・・・ありがと。
元気、出た。」
見上げると、優斗は首をポリポリとかいてる。
・・・・・・あ、しまった。
キスされて喜んでるって思われちゃう。
実際は、そうなんだけど。
バレちゃ、だめだ。
「優斗に話聞いてもらうと楽になるね。
長所あるんだー。」
「はぁ?
お前、喧嘩売ってんのかよ。
いいとこだらけだわ。」
ムリに笑えば、優斗は安堵の表情を見せた。
そうだよね。
優斗、好きな子いるんだもんね。
じゃあ、何でキスしたの?
何で戸惑わせることばかりするの?
思わせぶりな優斗のせいで、いっつもめちゃくちゃにされちゃうんだよ?
それでも。
諦められない自分が嫌。
ときめいちゃう自分が嫌。
辛くて悲しくて・・・
でも、想いは止まらない。
私も立ち上がって、優斗を押した。
「・・・・・・私、もう少し休んでくから。
先に戻ってて。」
涙が耐え切れなかった。
下を向くと、ポタポタと涙が落ちる。
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