恋するシンデレラ






ブー・・・


『本日は、ご来場いただきましてありがとうございます。

先立ちまして、皆様にお願いがございます。
上演中の携帯電話のご使用は・・・』


5分前の挨拶が始まった。


皆緊張していて、空気は張りつめてる。



まずいな・・・。
このままじゃ、いい公演は出来ない。


愛に話しかけて2人で大笑いしてみると、空気は緩み始めた。


うん、いい調子。
もっと良くしなくちゃ。


気合いを入れると、バタバタと足音が聞こえた。





「やっべぇ!
楽屋わかんなくて迷った!!」







・・・数秒後。

お客さんに聞こえるんじゃないかというくらいの笑い声になった。





「おまっ、どうやれば迷えんだよ。」
「学校で迷うとか、初めて聞いた!」
「バカすぎるだろー。」




たちまちいつもの空気になり、楽屋は明るくなる。


やっぱり、優斗って凄い。



今回のは、アクシデントだろうけど。


満面の笑みを浮かべて話す優斗を見ながら、私も思わず笑みを溢した。






.
< 193 / 304 >

この作品をシェア

pagetop