恋するシンデレラ
「・・・大丈夫ですか?」
髪にかかる息と、近くに聞こえる優しい声。
離れなきゃという理性とは裏腹に体は正直で。
キュンと胸が鳴るのを感じる。
体が軽くなっていた。
・・・支えて、くれてるのか。
重いだろうに。
こんな時でも、余計なことを考えちゃうもんなんだね。
気にしなくていいことなのに。
「・・・はい。」
心臓がドキン、ドキン、っと鳴っているのがわかる。
優斗は優しく降ろして、手を離した。
そのまま私は階段を駆け降り、ステージから・・・優斗から、走り去った。
だめ。・・・だめ。
ドキドキしちゃ。
これは芝居なの。
嘘なの。
なのに。
なのに。
顔は熱くなるばかりで。
ドキドキするばかりで。
あまりにも、真剣に告白するから。
あんなにも、胸に響いたことはなかったから。
優斗の手が熱かったから。
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