恋するシンデレラ







照明が入り、舞台に輝きが戻る。


舞台で演技をする優斗はキラキラしていて。


その綺麗な姿を、響く声を、舞台の袖で聞いていた。




もう、この声が聞けなくなるかもしれない。



私はシンデレラを終えたら、もう王学には絶対に行かないって決めた。






会えば、辛くなるから。




逃げてる事になるかもしれないけど、嫌なんだもん。



優斗を好きになるのが。


これ以上好きになるのが。






だから。


最後。



ゆっくり。

ゆっくり。


優斗に向かって歩き出す。





暗いところからいきなり明るいライトの下に出て、

少しだけ目を細めた。





王子様の姿をした優斗は、やっぱりかっこいい。



何度も見てるはずなのにそう思ってしまう。



目が合うと、優斗は驚きと喜びが混じった表情をした。







くっそー。

演技、うますぎるんだよ。



本心に見えちゃうじゃんか。





ウェディングドレスのような格好の私。


ベールまでして。




ほんとに、結婚式みたい。





ウェディングドレスを着ると、結婚が遅くなるって聞いたけど。



いいや、一生結婚しなくて。




こんなにかっこいい人を好きになれたんだから。







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