恋するシンデレラ







結婚式が始まり、神父が話し始める。



『誓います。』


そう言った優斗の声は力強くて。

透き通っていて。



心が温かくなるその声をしっかりと聞いた。



忘れないように。




まぁ、きっと忘れられないと思うけど。







『誓います。』



そう答えた私の声は、少し震えてしまっていて。


しっかりと答えたかったけど、優斗のようにはできなかった。







『では、誓いのキスを。』


その言葉に、私の心臓はドキッと音を立てる。



何度も聞いた台詞のはずなのに。

何度もリハーサルしたはずなのに。


練習の時も、毎回ここは緊張してたっけ。






向かい合わせになる私たち。


目が合うと、少しだけ目を細めてくれた。



そんな優しく笑わないでよ。


また惚れちゃうでしょ。







優斗を真似するように優しく笑い返すと、
優斗はフッと笑って顔を傾けた。








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