恋するシンデレラ
『以上で、合同公演シンデレラを終了致します。』
「いやー、お疲れさま!」
「終わっちゃったなー。」
「なんか寂しいねぇ。」
幕が閉まった瞬間に話し始める。
皆の顔はキラキラしていて、眩しかった。
誰もが、やりきった達成感で満ち溢れてる。
「じゃあ、着替えますか!」
稽古中にペアの女の子と喧嘩してしまった、あの男の子が笑顔で言う。
実はこの2人。
付き合う事になったみたいで。
今では、ラブラブ。
そんな男の子に皆も頷き、舞台を後にしようとした。
その時。
「皆!
もう一度立ち位置に戻って!」
学校が始まったばかりの時、最初に話しかけてくれた、
クラスメイトのさおが走り込んできた。
さおは舞台監督として、
サポーターの先生と舞台全体を支えてくれていたとても重要な存在。
「え、なに?
どしたの?」
さっきの男の子が答える。
「観客の方たちが、まだ誰も帰らなくて。
拍手が止まないの!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
拍手が、止まない?
ダブルアンコール終わったのに?
文化祭の劇なのに?
「うそだろ。
そんなことってあるの?」
「今まで、こんなことはなかったって。
先生達も驚いてる。」
信じられない。
皆、ずっと拍手をしてくれていたの?
驚きを隠せないまま隣を見ると、優斗が優しく笑ってくれた。
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