恋するシンデレラ
急いで、立ち位置に戻る私達。
そこからでも、拍手が聞こえていた。
気づかなかった。
自分達の話し声で。
自分達のテンションが高くて。
こんなにも、拍手を送ってくれていたのに。
「開けます!」
裏方の子の声で幕が上がる。
そこには、沢山の笑顔があった。
響き渡る拍手。
溢れる笑顔。
全身を駆け巡るような歓声。
何も言えなかった。
涙が止まらなかった。
そんな私に、優斗はフッと隣で微笑む。
見なくてもわかる。
聞こえなくてもわかる。
優斗が好きだから。
大好きだから。
優斗は正面を向いたまま、ポンと私の頭に手を置き。
どちらからともなく、頭を下げた。
目一杯、感謝の気持ちを込めて。
零れる涙は暖かくて。
優斗の手は、やっぱり暖かかった。
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