恋するシンデレラ
「なんなの、ここは。」
思わず愛が溢した言葉に、私も同感。
さっき私達が劇をしたあの体育館は、
ものっすごく広い体育館で。
そこに、びっちりと並べられたパイプ椅子はほとんど人で埋まっていた。
しかも、さっきの劇とは違って皆制服なわけで。
カラフルなTシャツや、外部の人の洋服は一切なく。
同じ色がずらりと並ぶ。
まさに、異様な光景。
あと残っているのは私達、劇のメインメンバーの席のみ。
談笑している先輩方も、裏方やエキストラをしてくれた1年生も。
私達が通りすぎると、にっこり笑う。
『よかったよ。』とか『素敵だった。』とか。
私が通りすぎる時に言ってくれて。
それが凄く嬉しくて、ちょっぴりくすぐったかった。
席順はバラバラでいいみたいで。
歌菜が席を空けといてくれていたから、私と愛はすぐにそこに座った。
『えー、皆さん揃ったようですね。
では、特別企画を始めます。』
何をするんだろう。
あ、そういえば。
優斗と・・・キ、キス、したのに。
誰もそこには触れてこなかったな。
『今年の特別企画は・・・
愛のバラ、です!』
はい?
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