恋するシンデレラ
「ただいま生徒会がお配りしているバラを、皆さん制服の胸ポケットに入れてください。」
なるほど。
それで上下制服だったわけだ。
でも、よく意味がわかってないんだけど。
バラって、何に使うの?
生徒会から回されたのは、一輪の赤いバラ。
とは言っても、造花なわけで。
痛くもない棘のあるバラを、そっとポケットにさした。
「そのバラは、女子が緑の茎、男子が青い茎になっています。
そこで見分けをつけることができます。
今から文化祭終了時間までに、バラを好きな人に渡してください。
渡された人は、それを拒否しても構いません。
受け取った場合には、そこでお互いのバラを交換し、再びポケットに入れていただきます。
男子のポケットに緑の茎、女子のポケット青い茎が入っていた場合には告白が成立しています。
交換されていても、気持ちを伝えたい場合は渡して構いません。
告白の返事を延期したい場合には、告白された人がバラを入れたまま告白した人のバラを入れてください。」
なんだなんだ。
難しい説明だな。
覚えられないよ。
「付き合っている方は、あらかじめ渡しておいた、赤いバラのブローチを胸ポケットに付けておいてください。
なお、今外から来ているお客さま方にもバラは渡してあります。
ルールがわからなくなってしまった場合には、あらゆる場所に紙を貼っておきましたので確認してください。
それでは、開始です!
3年生から退場してください。」
三人で顔を見合わす。
辺りはざわざわと興奮しているみたい。
「凄いことするね。」
「彼氏調査ってこのためだったんだ。
やばいね、この企画。」
「スゴい、周りがうるさいんですけど。」
「この勢いで、シンデレラも王子様に告白しちゃったら?」
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