恋するシンデレラ








「では今日は以上になります。

お疲れ様でした!」






はぁー、これは疲れる。


こんなんでもつのかな、私。








「奈々美、帰ろう。」


「あ、うん!」








荷物を持って会議室を出ようとしたときだ。









「おい。


西塔奈々美。」









げっ。


この声は・・・・









クルッと振り返ると、







やっぱり。




佐倉優斗。













皆は早々と部屋から出て行ってしまい、



私達の他は誰も残っていなかった。












「・・・・何よ、


佐倉優斗。」



「お前、ここはおかしいだろ」







嫌味でフルネーム言ってみたのに!




スルーか!






フルネームとかお前とか呼ぶなっつうの!


しかもダメ出し?









「奈々美、先帰ってるね。」


「え?


愛?!」




「ごゆっくり〜。」








『ごゆっくり〜』ってちょっと待ってよ!



置いてかないでー!



私の呼び止めなんか気にも留めず、さっさと出て行ってしまう愛。





嘘でしょ?


2人っきりですか?











「おい、聞いてんの?」


「あー、はいはい。


どこがダメだって?」





諦めて椅子に座り直す。


なんでこんな事に。




「ここ。


泣きながら言わないで、
泣きを抑えたら?


じゃないと聞き取りにくくなる。」






あぁ。



「なるほど・・・」


「ふっ。」



突然吹き出した。




「な、なに!」




「面倒くさそうだったのにいきなり納得するとか!

お前、面白すぎる。」




「何それ。」





失礼な。

素直って言いなさいよ。







でも・・・笑った顔、初めて見た。




可愛い、かも。








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