恋するシンデレラ
あ!と呟くその人に向かってそっと言った。
「今、ちょっとだけ時間いいですか?」
「え?
あ、はい。」
後ろにいた男の子に向かって許可を得れば、その後ろの女の子達は顔を赤らめる。
なるほど。
モテるんだね。
どうやら、このクラスは特別に合同でやっているらしい。
普通は王学生と姫学生は別々なんだけどね。
彼はエプロンを外しながら、
小走りにやってくる。
そして、人気の少ない所に移動した。
そっと胸ポケットに手を伸ばす。
「あの、・・・これ。」
私の手のひらには、赤いバラ。
緑ではなく、青い茎の。
「気持ちは嬉しいです。
でも。
どうしても諦められないんです。
・・・・・・ごめんなさい。」
少し震えてしまう私の手から、
彼はそのバラを取る。
そして、
「大丈夫ですよ。
わかってましたから。」
ふと、顔を上げれば、
優しい笑みを浮かべている。
なんで、笑ってるの?
どうして?
振られても、貴方は平気なの?
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