恋するシンデレラ
速まる鼓動を隠して、
「そっちこそ。
ていうか、何で探してたのよ?」
冷静なふりをする。
「あーっ、と。
今先生に呼ばれてっから。
悪いけど、30分後に保健室前で。」
「はい?」
意味がわからない。
何で、保健室?
「あー!もう!
今は急いでっから!
また後で!」
眉間にシワを寄せ、首を傾げれば。
デコピンをされた。
「・・・てっ!」
「痛くねーよっ、
ばーか。」
とびっきりの笑顔を見せて、
走っていってしまった。
ちぇっ。
なんだよ。
確かに、痛くなかったけどさ。
そういうのは軽々しくするもんじゃないって。
ぷーっと頬を膨らませて、もういない階段の先の廊下を見つめる。
まだ、胸ポケットには青い茎のバラがあった。
ってことは、まだ会ってないってことだよね?
できれば、先に言ってしまいたい。
告白が成功してからでは、
ちょっと・・・
「いや、かなり。」
きつすぎる。
.