恋するシンデレラ
少し緩んだ優斗の顔にときめけば、さっきまでの不安はどこへやら。
・・・・・・手汗、大丈夫かな。
ドキドキしかしてなくって。
今さら気になり始めたりして。
『おめでとうございまーす!
皆さん、温かい拍手を!
では、次のエントリーにまいりましょう!』
「ちょっと待ってろ。」
ようやく人混みから抜けたと思えば、
そのまま私を置いて、ステージ脇のスタッフの元へ真っ直ぐ行ってしまった。
側では歓声が上がっている。
・・・・・・心細いんですけど。
右側の人混みから視線を浴びてるような感覚になって、顔が熱くなる。
・・・冷や汗出てきた。
優斗ーーーーーー・・・。
泣きそうになりながら、遠くの優斗を見つめれば。
振り返った優斗は笑い、手招きをした。
恥ずかしさに耐えながら小走りで行けば、優しい笑顔が上から降ってくる。
「行くぞ。」
「何?
何するの?」
「いーから。」
また手を握られて歩いてしまう。
ずるい。
黙ってついてくしかないじゃんか。
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