恋するシンデレラ



鉄で型どられたそれは、ガラスの靴の形をしていて。

私のは、水色でコーティングしてある。

踵部分には、二人共小さな赤いバラが付いていて。


・・・凄い、ほんとに可愛い。



「皆で考えてさー。
生徒会にお願いしたんだよね。」


『お礼がしたくて。』なんて笑う皆を見て、また涙腺が緩む。


「ありがとー・・・。」
「いいえー!
じゃあ、デートしてきちゃって!」



・・・え。

デ、デート?



優斗と顔を見合わせる。



「ふは。目、潤んでるし。」
「・・・うるさい。」

「ふっ。
行くぞ。」

頭をポンポンと叩き、先に行ってしまう。

・・・もう。お礼くらい言いなさいよ。

熱くなる頭を押さえ、背中を睨んでみる。



今日だけでなく、今までの感謝も含めて叫んだ。



「皆、ありがとー!」

「おー!」
「また明日ね!」



『また明日』その言葉が嬉しくて、頬が上がってしまう。





大きく手を振れば、

達哉君も、
神林さんも、

笑っていた。





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