恋するシンデレラ







一幕の台詞を読み始める私達。




他の役が入る時は、交代で読んで雰囲気を掴む。




「んー、なんか違う気がする。」


「あ?

どこ。」




私はパラッと一枚後ろに戻り、指差した。



「ここ。

もうちょっと溜めて言ってもいいと思う。


寂しさが見えやすくない?」





優斗は台本を見て、『あー。』と呟く。





「なるほどな。

あ、じゃ俺も1つ。」



優斗はパラパラとページを戻す。






「ここ、もうちょいゆっくり言うってのは?

ヒロインっぽさが出ると思うんだけど。」


「あー。


そこは別に意図を持っていきたいから、こっちをゆっくりにしてみるよ。」







あれこれ話していると、周りがやけに静か。







「「・・・・・ん?」」




息ピッタリに顔を上げれば、皆がこっちを見ている。








「な、なに?」








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