恋するシンデレラ



ーーーーーーーーーーーー・・・・・








台本を広げてみたけど、全然頭に入ってこない。







『んなわけねーだろ!

てか、ありえねぇよっ。』




『髪が短い、もっと優しい子がいいっての。』





大丈夫。


嫌いって言われたわけじゃない。










わかってる。





わかってるけど。










やっぱり、辛いや。








「じゃーなー!」



「おー。

お前らも頑張って大道具完成させろよー!」




その声を聞いた私は、慌てて台本に目を向ける。






ガラッーーーーーーーーー・・・




「・・・あ、れ?

奈々美?」





ジャージの長袖を軽く捲くり、エナメルを肩から提げたその姿は。


どう頑張ってもかっこよく見えちゃって。


そんな自分に虚しくなる。





「あ、優斗。
おはよー。

早いねー。」



目を見る事ができない。





平然と返事するふりをした私の手は、


微かに震えていた。




「・・・俺達が、隣の教室にいたの知ってる?」



「え?
いたんだー。

知らなかったぁ!」




「あ、おい!」





早い口調になってしまう自分。

もう、ごまかすことが辛くなってしまって。







私はその場から逃げるように立ち去った。








< 62 / 304 >

この作品をシェア

pagetop