恋するシンデレラ







−優斗VERSION−







ゆっくりと教室を出て行った奈々美の後ろ姿は、

いつもより元気がない。




そんなに具合悪いのか。



一瞬そう思った。





・・・・・・違う。

あいつの様子が変になったのは、俺らが会話したあの日。



やっぱりあの『カタン』って音はあいつだったのか。





・・・あの会話を聞いてたから?



俺のせい、なのか?







俺は素早く立ち、先生の元に行った。




「あら。

そっちに行きますよ?」



「いや、そうじゃないんです。

奈・・・・西塔、王学の保健室の場所を知らないと思って。」


「あぁ、確かにそうですね。」


「だから、ちょっと行ってきます。」






お願いします。という台詞を聞き終えない内にドアへ向かうと、尚樹がニヤついた。



「何だよ、優斗。

気になんのか?」


「バカか。

練習してろ。」



そう言い捨て、俺は教室を急いで出た。






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