恋するシンデレラ









そんな私の心境とは裏腹に刻一刻と迫り、

いよいよラストの結婚式のシーンへとなってしまった。






「・・・・」





向かい合った瞬間、更に気まずくなる。


おまけに、ドキドキしてきた。




先生と他の皆は私達から離れたところにいるから、

私が挙動不審なのには気付いてないだろうけど。




目泳いでるの自分でもわかるよ!







優斗の顔が近付く。





ど、ど、どうしよう。










「・・・・・はぁ。」



え?


いきなり優斗にため息をつかれた。





「先生、一回休憩にしません?」



「あ、やっぱりいきなりは大変だったかしら。

そうね、一旦休憩しましょう。」








は?


なんで?




いや、そりゃ、挙動不審だったかもしれないけど。


キスだから気合い入れてたのに。
(フリだけど。)


目、頑張って閉じたのに。






なにそれ!








「ちょっ、どういうこと?」




皆が続々と休憩室に移動する中、

出て行こうと私に背中を向けた優斗に焦りを覚える。



嫌な感じがして。






慌てて引き止めると、優斗はゆっくりと振り返った。





ズキン・・・



今まで見たことないような恐い表情に、胸が痛い。



なんで?


どうして?






皆の話し声が響く中、優斗は小さく低い声で言った。






「集中できない奴と演技できるか。」












教室には誰もいなくなったのに。














私は動く事が出来なかった。















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