恋するシンデレラ
−優斗VERSION−
皆が休憩している中、俺はあいつを探してた。
「何、誰か探してる?」
いつものグループメンバー、
萩原達哉の問いかけに、我に返る。
「あ、いや別に。」
危ねぇ。
周りなんか気にせずに探してた。
床に座った俺達は菓子を出し、食べ始めた。
ちなみにあっちの会議室は飲食禁止。
だから休憩室として、皆わざわざこっちに来るんだが。
おかしい。
やっぱりいねぇ。
・・・さっき言い過ぎたか?
あのまま続けてもダメだと思って言ったんだが。
「しっかし残念だなぁ。
あとちょっとだったのに。」
グリップパックのジュースを飲んでる尚樹が、でかい声で言った。
「んぁ?
なにが。」
俺もスポーツドリンクを飲みながら聞き返す。
「だーかーらっ。
キスだよ、キス!!」
パックを潰す勢いで叫ばれる。
ゲホッゲホッ
思わず息を吸い込んだせいで、変な方向にスポーツドリンクが入った。
「ちょ、大丈夫か?」
隣で達哉が心配する。
「あぁ、・・・んで?」
低く脅すように声を出した。
こいつ。
思いっきり楽しんでんじゃねぇか。
が、こいつに脅しが効くはずもなく。
「結構楽しみにしてたんだぜ?
マジキス!」
更に興奮した様子で身を乗り出す。
・・・・・・ほんとに、こいつは。
「するか!
ばーか。」
「カッチーン!
バカって言った方がバカだもんね!」
ギャハハハハッ
俺らのデカイ声が教室中に響き渡る。
そう、あの入道雲のように。
大きく、ゆっくりと近づいてるとも知らないで。
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