恋するシンデレラ
2日後。
結局、私は不合格になり。
受かったのはどうやら春日結衣。
「やっぱりなぁ。」
オーディション受けられただけありがたいけど。
やっぱり受かりたかったな。
アピールできた。
それでいいのかな。
アピールできてたのかな。
「あー、もう考えない!
暗いぞ、自分!」
今できることをやればいい。
今は、シンデレラだ!
そう気合いを入れながら、自転車を走らせた。
今日から、お昼休憩が始まった。
つまり、午後の練習も始まったのだ。
お弁当を持って愛と休憩室に入ると、優斗と先生が話し合っていた。
「何?
どしたの?」
「お願いできませんか。」
優斗は私には答えず、話を続けた。
なんだよ。
話し掛けたのは悪かったけど、無視することないじゃん。
「西塔さん。」
先生はちゃんと反応してくれる。
「どうかしたんですか?」
「それがですね。
オーディションに受かったから、しばらく休むって言うんですよ。」
え?
受かった、の?
「あんまり休まれるとこっちにも支障が・・・」
「いや、ですから。
最小限に抑えるように、事務所もお願いしてくれているんで。」
そっか。
受かったんだ。
春日結衣さんの相手は優斗なんだ。
だから、話してくれないの?
目も合わせてくれないの?
それが、一番辛いことなのに。
「でも、何日間かも、いつあるかもわからないんでしょう?」
「それはっ・・・」
「大丈夫ですよっ!
代役やってもらえばいいじゃないですか。」
優斗の言葉にわざと被せる。
この話はもういい。
聞きたくない。
「ですが、誰に・・・」
その時頭に浮かんだのは。
「あ、萩原君なんてどうですか?
役的に一番近くにいますし、王子と召使いのシーンは一幕がほとんどですから。」
三幕の練習がメインの今は、支障が出ないはず。
「あぁ、そうですね!
萩原君、引き受けていただけますか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
快く承諾してくれた萩原君にお辞儀をすれば、
紳士的な笑みで返された。
まるで、全てを察してくれたかのように。
先生を説得した私は、呼び止める優斗を無視して愛の元へ向かった。
なんで優斗を助けたんだろう。
正直、わからない。
ただわかるのは。
私は馬鹿だってことだ。
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