恋するシンデレラ









ーーー朝。



教室に来てみるとまだ誰も来てなくて。




一人で着替えに行った。




ブー・・・ブー・・・



また電話?


メール派の私は、誰かと電話する事なんてあまりなくって。

電話が来ることに驚いてしまう。


今度は誰・・・って




「え!」



思わず大きな声が出てしまい慌てて廊下に響く。





だ、だって。






優斗なんだもん!






「・・・もしもし。」



『出んの遅ぇよ、あほ。』


電話ごしに聞こえる優斗の声はなんだか大人っぽくて。


ドキドキすると同時に、遠い存在になってしまったようで。




ちょっと寂しくなった。





『あの、さ。達弥にさ。』



「へっ?」


慌てて返事をしたせいで声が裏返る。

は、恥ずかしい。






『ぶっ。・・・・・くくくっ。




あんな?

達弥に代わりよろしくって伝えといて?

直で言うのは、まぁ、あれだから・・・』



優斗、恥ずかしいんだ。

恥ずかしくて言えないとか・・・


か、可愛い。


しかも、私に頼んでくれるとか。

嬉しすぎる。




「うん。わかった、伝えとく。



でも、ごめん。

達弥って・・・?」


どっかで聞いたことあるような・・・



『あぁ、ほら萩原達弥だよ。

召し使い役の。』



あ、萩原君か!



それと同時にあの事を思い出す。


ーーーーーーーーー・・・髪が短くて・・・


やだ。

優斗と電話してる時に思い出したくない。








その時。




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