恋するシンデレラ








着替えてから練習場に行くと、メンバーが少し集まって来ていた。




萩原君はもう王子の立ち回りをやっている。




うわー。
やっぱり真面目な人なんだなぁ。


なーんて感心していると、目が合った。







「あ、丁度よかった。

奈々美、手伝ってくれる?」




わー。

王子様って感じだなー。





紳士のような笑顔で気を取られていた私は、

周りの騒がしさで思い出した。



「・・・いいですけど、なんで呼び捨てなんですか?」



大声を上げたい気持ちを押さえて近寄る。






「ん?

西塔さんって呼びにくいでしょ?

それに優斗達も呼び捨てみたいだし。」





『達』を強調され、胸がチクッと痛くなる。


頭に浮かんだあいつとあの子を消し去り、精一杯の笑顔で会話した。




「だから、奈々美も名前で呼んでよ。」








だから、そんなことも軽く返事しちゃったんだ。







< 86 / 304 >

この作品をシェア

pagetop