恋するシンデレラ
着替えてから練習場に行くと、メンバーが少し集まって来ていた。
萩原君はもう王子の立ち回りをやっている。
うわー。
やっぱり真面目な人なんだなぁ。
なーんて感心していると、目が合った。
「あ、丁度よかった。
奈々美、手伝ってくれる?」
わー。
王子様って感じだなー。
紳士のような笑顔で気を取られていた私は、
周りの騒がしさで思い出した。
「・・・いいですけど、なんで呼び捨てなんですか?」
大声を上げたい気持ちを押さえて近寄る。
「ん?
西塔さんって呼びにくいでしょ?
それに優斗達も呼び捨てみたいだし。」
『達』を強調され、胸がチクッと痛くなる。
頭に浮かんだあいつとあの子を消し去り、精一杯の笑顔で会話した。
「だから、奈々美も名前で呼んでよ。」
だから、そんなことも軽く返事しちゃったんだ。
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