グリーン・ロード
第一幕

ここは・・・。

『・・・うっ・・・こ・・ここは??』


何かがオレの額に
落ちて目が覚める。

そっと辺りを見渡すと、
じっとりとした苔が覆い、
ひび割れ黒ずんだ
緑のタイルに囲まれた一室。


部屋全体が”濃い緑”一色だ。


天井には、
同じタイルに据え付けられた一本の蛍光灯があった。

それは、煤(スス)汚れ
今にも消えそうに
点滅しながら光っている。

よく見てみると、
タイルからは
若干黄色がかった
なんの液体か解らない物が、
隙間から染み出て
垂れ落ちていた。



『これが・・・??』



あわてて、顔に付いた液体を
右腕の袖で拭う。



『・・・しかし・・・どこだ??ここは。』



ここがどこだかわからない。


しかし、
以前もここに来た記憶がオレにはあった。


だが、
自分で来た覚えは
ない・・・。


いつ、
どうやって来たかも
覚えていない・・・。


しかし、
なぜかここに来た
記憶は微かにあった。





--どこからか、
生暖かいような
冷たい空気が
頬を掠(かす)める。


辺りをもう一度
見直すと
1本の通路が
目にとまった。


同じ汚い緑色の
タイル張りだ。


オレは、なぜか
引き付けられるように
その通路へと向かう。



カツーーン




カツーーーン




妙に足音が響き渡る。



どこかの地下か
なにかにいるのだろうか・・・。

やたらと、音が響く。




通路の先は暗くて
よく見えない。

距離にして
どれくらいあるだろう。

数百メートルは
あるだろうか・・・。



(・・・行ってみるか。)



ここにいても
仕方がないだろう。

進んでみることにする。








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