ここにある幸せ【短編】
電話してみるかっ。
そう思ってボタンを押そうとしたその時、タイミングよく秋斗から電話がかかってきた。
『もしもしー今どこ?愛花たち先に食べちゃってるよ』
そう言ったその時、あたしの耳に聞こえてきたのは、いつもの秋斗の声ではなかった。
『坂井秋斗さんの御家族の方ですか?』
周りのざわついた雰囲気。
変な電話。
なんかおかしい…。
馬鹿なあたしにもすぐに理解できた。
『はい、坂井秋斗の…妻ですが…』