最後の春
体育館に行くと各クラスごとに列が成されていた。端のほうでは新入生が行儀よく並んでいる。去年は裕達があそこに並んでいたかと思うと一年の月日が早く感じられる。

「全校生徒が集まったみたいなので、これより始業式を始めます」

ずっとマイクテストをしていた副校長が真面目な顔で進行しているが裕にはどうでもよかった。大事なのは終わり際に言われる担任発表なのだ。
校長の式辞参考書にでも掲載されているような長い話が終わり、いよいよ大事な時間がやってきた。
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