最後の春

みっちゃん

制服女性について話していると周りが混雑してきた。裕はつけていた腕時計を見ると時刻は6時を回っている。優美が通っている弥生中学までこの時間にモッツァを出れば向こうで待たなくてもすむ。

「そろそろ良い時間ですな」

裕が切り出すと長原はすでに出れる用意をしていた。

「もうこんな時間かよ?泉ちゃんの妹の中学ってここから近いの?」

土田が残っていた氷を噛み砕きながら聞いてきた。

「まぁ近いほうじゃないかな?」

モッツァからだと自転車で15分もあれば行けることを土田に伝えた。氷を噛み砕き終えた土田は

「じゃあ、俺も行く!なんか今日はそんな気分だ」
「別にいいけど、ただ妹を迎えにいくだけだぜ?」
「OK、無問題」

どこぞの映画のタイトルを言い放った土田も行くことになった。
弥生周辺には弥生川というものが流れており、土手はジョギングコースとしても人気がある。優美を迎えにいくときは、ここを通ったほうが早いし信号が無いので気分的にも楽になる。結局3人で行くことになった裕たちは誰が一番早いかというくだらないことをしながら土手を疾走していた。土田が先頭で走り続いて長原・裕と続く、土田の速さは凄かった。自転車自体は3人とも大した差は無いのだがみるみる差が開いていく

「あいつ早すぎ」

長原が息を切らしながら裕に言った。裕には長原に返す気力も無い。すると大きなカーブを曲がった土田が左にある公園に目をやるといきなり急停車した。裕と長原も土田に追いついた。

「どうした?」

長原が聞くが土田は答えず見つめていた公園を指差した。

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