最後の春
「祐希ちゃん大丈夫?」

土田が西山に言った。西山は裕たちの行動に言葉が出てない様子だった。

「西山?」

裕が言うと西山は我に返ったようで

「大丈夫」

とだけ言った。言葉とは裏腹に体は震えている。すると成り行きを見ていた「みっちゃん」は

「あんたがしてるのは最低なことだということを自覚しなよ」

男は何も言わずに公園から走っていった。公園の脇に停めてあった車に乗り込むと急発進して去っていった。それを眺めていた土田は

「タイヤパンクさせればよかった」

とだけ言うと舌打ちした。

「いやいや、それはやりすぎでしょ土田さん」

裕が苦笑いすると土田は残念そうな顔をした。

「バイト変えたほうがいいかもしんないよ」

長原が提案すると西山は素直にうなづいた。

「ところで」

長原が「みっちゃん」のほうを向き

「少し聞きたいことがあるんですがいいですか?」

「みっちゃん」は黙ってうなづいた。
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