最後の春

待ち疲れていた優美に文句を言われながら裕は家に帰ると、昌子は出かけているようで誰もいなかった。この時間に出かけているならば昌子は近所の人とカラオケにでも言ってるのだろう。当然のように光司はまだ帰っていなかった。

「にい、何か食べる？冷凍庫に中華丼があるけど」

優美は冷蔵庫を漁ってみた。裕は何か食べる？と聞きながら中華丼しか選択肢ねぇじゃんと言いたかったが我慢をし。

「いや、適当に食べるからいいや。」
「コンビニ行くの？」

優美の目が光る。明らかに何かたかるつもりだ。

「ああ、お前何か食う？」

その答えを待っていたかのように優美は数種類のお菓子をリクエストしてきた。適当に返事をし裕は私服に着替え出かけようとしたときに家の電話が鳴り響いた。