最後の春
矢ヶ崎駅行きの電車に乗り込んだ裕たちは荷物があるので座席には座らず車両の隅に立つことにした。車内は早朝とはいえ桜見物の最終日ということもあり予想以上に混雑している。
「まもなく、桜並木を通過します」
毎年、このシーズンの週末時には桜並木を通過する時車内アナウンスが流れ電車は徐行運転になる。普段の通学では桜なんて見る気もしなかったが同じ電車なのに今日は窓から見える景色に目がいってしまう。
「普段、何気なく見てたけど何か凄いよな」
裕は毎年花見をしたがる理由がなんとなくわかったような気がした。
「うん、何か飽きないよね」
宮田も窓から視線を動かさない。
「桜もいいけど、今日は海が見えるから俺はちょっと嬉しい」
土田は窓に向けて早くもカメラを回している。
「撮ってるの?」
長原が聞くと、
「練習も兼ねて」
土田は照れたように笑った。
矢ヶ崎駅に着いた裕たちは電車を乗り換えて夢ヶ咲行きの電車に乗り込んだ。ここから約1時間半以上時間がかかる。
「さぁこの出番かな」
長原は駄菓子が詰まっているバッグをポンポンと叩いた。夢ヶ咲行きの車内は先ほどまでと違って乗客も数えるほどしかいない、これなら十分座っても迷惑がかかることはないだろう。
「ほんと駄菓子好きだよな」
「駄菓子を愛してるよ俺は」
普段冷静な長原が熱く語っている。宮田は普段との違いに少し困惑しているようだった。
「長原ちゃんキャラ変わりすぎ」
土田も少し戸惑っている。
「そうかな?」
「俺は見慣れてるから」
長原に聞かれた裕はそう答えることしかできなかった。
「まもなく、桜並木を通過します」
毎年、このシーズンの週末時には桜並木を通過する時車内アナウンスが流れ電車は徐行運転になる。普段の通学では桜なんて見る気もしなかったが同じ電車なのに今日は窓から見える景色に目がいってしまう。
「普段、何気なく見てたけど何か凄いよな」
裕は毎年花見をしたがる理由がなんとなくわかったような気がした。
「うん、何か飽きないよね」
宮田も窓から視線を動かさない。
「桜もいいけど、今日は海が見えるから俺はちょっと嬉しい」
土田は窓に向けて早くもカメラを回している。
「撮ってるの?」
長原が聞くと、
「練習も兼ねて」
土田は照れたように笑った。
矢ヶ崎駅に着いた裕たちは電車を乗り換えて夢ヶ咲行きの電車に乗り込んだ。ここから約1時間半以上時間がかかる。
「さぁこの出番かな」
長原は駄菓子が詰まっているバッグをポンポンと叩いた。夢ヶ咲行きの車内は先ほどまでと違って乗客も数えるほどしかいない、これなら十分座っても迷惑がかかることはないだろう。
「ほんと駄菓子好きだよな」
「駄菓子を愛してるよ俺は」
普段冷静な長原が熱く語っている。宮田は普段との違いに少し困惑しているようだった。
「長原ちゃんキャラ変わりすぎ」
土田も少し戸惑っている。
「そうかな?」
「俺は見慣れてるから」
長原に聞かれた裕はそう答えることしかできなかった。