最後の春
「思った以上に知ってる人って見つかんないな」

土田はすぐに見つかると思っていたのかガックリしている。

「仕方ねぇよ。縁日について知ってる人なんて逆に珍しいし知ってるのであれば関係者ぐらいだと思うぜ」

長原は予期していたのか余り表情に変化がない。

「関係者かぁ…どこにいるんだぁ」

店員が運んできてくれたフライドポテトをつまみながら土田がつぶやいた。確かに、このまま闇雲に探しても難しいような気がする少し方法を変えてみようと裕は思った。

「この縁日が開催される神社に入ってみようか?」
「俺も今それ考えてたとこだ。神社の人ならば何か知ってるかもしれないな。だめなら近所の人に聞いてみたらいいかもしれないし」

どうやら長原も同じことを考えてたみたいだった。裕たちは縁日が開催される夢ヶ咲神社に行ってみることにした。
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