最後の春
「海岸通ですね。ありがとうございます」

裕は老人にお礼を言い神社を出ようとした。すると、

「ちょっと待ちなさい。君たちは美樹ちゃんの知り合いなのかね？」
「はい、そうです。たまたまこの広告を見かけてやって来ました。」

裕は長野との関係を説明すると老人は少し黙って

「そうですか…一言だけ伝えておきます」
「なんですか？」
「理解することは厳しいかもしれません。でも、ここまで来たあなた達なら乗り越えることが出来るかも知れません。頑張れというのは簡単ですが厳しい言葉でもあるということを覚えておいてください。」

老人が何を裕に伝えたかったのか裕には理解できなかったが言い終えると老人は竹箒を持ち奥のほうに行ってしまった。

「何だ？今の言葉」

カメラを回しながら土田が裕に言った。

「わかんないけど、何か伝えたかったのかもしれない」
「理解することは厳しい？」

宮田も先ほど言われた言葉を繰り返してみたが、良くわかってないようだった。長原はずっと空を眺めて

「とにかく行動してみようぜ。何が言いたかったのか時間が過ぎたらわかるかもしれない」
「そうだな」

今は長原の言うとおりなのかもしれない、裕たちは海岸通へ向かうことにした。

< 71 / 92 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop