かえりみち。
あたしは深く息を吐いた。
「そーですね…」
「タモリ?」

あたしは逆の腕で
頬杖をつきなおす。


「……最近ね、駅の待合室で
優に似た人がいるんだよね」
天井を見ながら話し出した。
「へー!」
「4月の始まりくらいから
見かけるようになって。
なんとなく優に似てるんだけど
怖いからちゃんと見てない」
「見てないんかい!」



田舎の小さい駅の
小さい待合室。
その横を通るとき、
チラッと見える、男の人。

あたしが学校から帰る時間に
大体いる


ような気がする。
< 35 / 55 >

この作品をシェア

pagetop