優しい気持ち
「・・・。」

「どしたん?固くなっとるで。」

「・・・。」

どう接していいのかわからなかった。

「ん?」

「・・・。」

その時私はどんな表情をしていたのだろう。その人の瞳にはどんな風に映っていたのだろう。

涙が出た。

「嫌やったら、嫌って言うていいんよ。」

「・・・。」

「さっきまでいい顔しとったのに・・・。どしたん?」

「・・・。」

「俺、好きやったで。あの刻の顔。」

その人は私の頭を優しく撫で、会話が楽しかったあの刻と変わらない優しい瞳をしていた。

「・・・。」

「何か悲しいこと思い出したん?」

「・・・。」

「生きとったらいろいろあるわな。」

「・・・。」

全てを見透かしているような口調だった。

初めて会ったその人がくれた、その言葉。
あの日の私を、あの時の私をそっと理解してくれたような言葉。

私は溢れてくる涙を抑えきれず、手で顔を隠してしまった。

「そっか。」

「・・・。」

言葉にできなかった。声にならなかった。どうしていいかわからなかった。

するとその人は私の体を起こし、肩から毛布を掛けてくれた。二度頭をポンポンと優しく撫で、ベッドを離れる。

「・・・。」

私は顔を押えて泣いている。

「ほれ。」

「・・・。」

その人は私の下着と服を差し出した。

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