止まった時の住人
「すみません、もう一度言って頂いていいですか?」


「………………りゅう……」


今度は尚更聞き取ることができなかった。もう1度聞き直そうとした途端に、電話は切れてしまった。


16時40分 通話時間32秒


「乙女?龍?何が言いたかったんや?…まぁ俺の知らん声やったし、間違い電話やろ」


少し違和感が残るものの、携帯電話をコタツの側に放り投げ、再び眠りについた。







18時、45分。


目を覚ました健は、大きなあくびをしながらゆっくりと体を起こして、ギターを手に取った。曲でも作ろうかと思った矢先、携帯電話が鳴った。健は誰かを確かめず、電話に出た。


ピッ


「もしもし?」


「おう、健。今何しとった?」


「あぁ、伸也。何って、別に」
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