止まった時の住人
竜二が伸也に聞く。


「うん。実は……健、おかまやねん」


「うっそー!」


竜二がオーバーリアクションで驚く。


「うん。僕もまさかとは思ってたんやけど……」


「うんうん、それで?」


「それで、手術しようか迷ってるらしい」


「そうなんやぁ……」


「……お前ら、もうええか?」


怒り口調で健が言う。


「あ、はい……すいません……」


と、竜二と伸也が口をそろえる。


「実は……今日、朝ニュースを見た。ほんなら、一週目のこの日に見たニュースが無くなってた」


健が真剣に言う。


「え、見間違えとかやないんか?」


竜二が健に言う。笑顔は完全に消えていた。


「違う。確かに見た。……そういえば伸也、お前を説得するときにテレビ見たんやでな?そのときも誘拐事件のニュースは無かったんやでな?」


「うん、なかった」
< 117 / 208 >

この作品をシェア

pagetop