止まった時の住人
伸也とは幼稚園からの腐れ縁で、健のバンドのベース担当だ。女の子のような顔立ちをしていて、そのわりに髪は短髪で、いつも意味のわからないことを言う。


「ちゅうことは、今、暇?暇やでなぁ。僕も暇やねん。奇遇やなあ」


「おいおい、俺まだ何も言うてへんやんけ」


「まぁとりあえず行くわ!行って話ししようや」


「わけわからん!何しに来るんや?」


「そうゆうことで、ほな10分後ぐらいに行くでぇ」


「えっ!ちょっ!待てっちゅーねん!」


プツッ!


切れてしまった。伸也が来るときはだいたいがいきなりだ。


18時47分 通話時間40秒


コタツから出た健は、1階の食卓へと移動した。食卓には智子がいた。


「今から伸也来るらしいから、晩飯早く作って」


「はいよ!」


やけに上機嫌だ。何か良いことでもあったのだろうか。


「ほんで、今日の晩飯何?」


「ロールキャベツとかやでー」
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