止まった時の住人
伸也が後ろ首に両手をあてて、伸びをしながら言う。


「あ!そう言えば……」


健が気づいたように言う。


「お、何や?」


竜二が聞く。


「そう言えば……今、思いだした。1周目だけ、間違い電話が掛かってきてる……」


「え?!いつや?!」


伸也が健に聞く。


「確か……29日の夕方や。でも、騒音で全然何言うてるかわからんかった」


「何か……ちょっとでも聞こえへんかったか?」


「えっと……あ、確か、龍とか乙女とか言うてたっけ……」


健が必死に思い出す。


「龍……乙女……あ!」


と、竜二の声に、視線が集まった。


「ここから二駅……I駅から徒歩5分のところに、『乙女』って喫茶店があるぞ!」


「あ!それ怪しいかもしれん……確かる価値はあるかも!」


健が言う。
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